2009年11月07日

桜坂劇場 梅蘭芳

 


私が若かりしころ商社マンとして北京に駐在していた時代、日本の梅蘭芳と称してに宴会の席で京劇の物まねで宴を盛り上げる役を仰せつかっていた頃があった。もちろんタモリの中国語のようなもので言葉にはなっていなかった。聴く人によっては馬鹿にしているのかと思われたかもしれない。そのとき、梅蘭芳とは実際どのような人物なのか知らなかったし、京劇もなんとなく眺めたことがあるに過ぎなかった。

今日、桜坂劇場で中国映画梅蘭芳が上映されているのを新聞で知り、急に昔を思い出しいろいろ勉強と娯楽をかねて帽子に風邪予防のマスクして出かけた。

京劇とは中国の伝統的な古典演劇である歌劇の一種であり、清朝時代に首都北京で盛んに演じられたことから北京の京を取って京劇と言うらしい。その京劇の名門の家に生まれた主人公の梅蘭芳が京劇の女形役者として成長していく中で、京劇の近代化に取り組み、伝統を頑なに守り抜くことに固執する大物師匠との観客動員競争に勝ち、大恐慌に揺れるアメリカ講演を成功させて世界的な名声を博して行く。妻をはじめ取り巻き達があくまで国劇である京劇を守るため、そしてビジネスの道具としてしか扱われないことに、自分を見失っていく。そんな時に出会った女性(チャンツイー演じる同じく京劇の男形女優)に心を寄せていくが、最後は周囲からの猛烈な妨害で引き裂かれていく。日中戦争を経てあくまで抗日を貫き通す壮絶な生き様を描いた映画であった。

感動とまでは行かなかったが、当時の中国の文化や生活がわかり興味深く、勉強になり面白かった。中国は貧しいだけの印象があったが、やはり文化的に奥深く優れてたものをもっている歴史大国、文化大国である。そしていまや軍事大国経済大国へとまた歴史の大舞台にその存在感を増してくるであろうとその底力を感じた。




Posted by ヤーレン at 16:55│Comments(0)
 
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